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■「ようこそ永遠の音楽へ」とオルゴールをとりまくひとたち
 2004年7月に最終回となった「TETSUOこの夕べの一枚展」、月1回とはいえ一年間、博物館、コンサート、アート展、イベントなどいろいろなコンテンツのコラボレーションはなかなか無い、おかげさまで開催の私たちとしてもたいへん面白く有意義な催しになりました。
 この作品展の2004年6月18日の回に展示された「ようこそ永遠の音楽へ」という作品があります。どの作品でも「そこに現れた天使」を描いていますが、私の多くの作品が楽器など現物としてある絵の構成要素もイメージ的な表現に変更されたりしているのに対して、この作品はイメージが伝わるようオルゴールの細部のデザインに多少の変更を加えている以外はモデルとなったオルゴールの形がほぼそのまま描かれているということが自分としては珍しいな、と思いつつ制作しました。
 また制作しているとき、このオルゴールの価値をあらためて感じ、本当に写実的に、このオルゴールをそのまま描くこともきっと価値があるな、とも思いました。さらにもしこのオルゴールの手書きの設計図があったらそれが一番美しいのではないか、ということも感じました。
 この作品の制作の動機はオルゴールが伝えてくれるものをそこにいる天使とともに描きたい、というものだったのですが、その背景にあるさまざまなオルゴールのエピソードや自身の思いなどを感じながらの作業でした。

 誰もがオルゴールの音色は聞いたことがあると思いますし音数の多い大きなディスクオルゴールやシリンダーオルゴールなどは特にそうですが、オルゴールの音色にはみんな「うっとり」します。この現象を説明すればα波とか1/fゆらぎとか様々な解説があり、しかしそれをもたらすためには同じ音楽でも人間の動きが反映される多くの楽器とは違いオルゴールの機械部分は文字通り「機械的」に機能しなければなりません。だからといって工業機械のような精密さやデジタル和音のような音の構成であればいいのかといえばそうではなく「美しいハーモニーを奏でる」というような音にならなければなりません。機械の設計、ボックスの構造や材質などのハードウエア、さらにその作りのなかに込める音質、音量、調律、ハーモニーなどのソフトウエア、そしてそれをこえた人間の感性に訴える音作りの要素などが加わり、一鑑賞者である私の理解をこえて専門技術は多岐にわたります。
 この奏鳴館での展示会の一年間に、奏鳴館のオルゴールのガイドの方、オルゴールの設計技師の方、オルゴールの編曲家の方、メーカーの方、編曲ソフトを作っている方などなど、さまざまなオルゴール関係の方々とお話をさせていただきました。オルゴールの歴史、機械としてのオルゴール、楽器としてのオルゴール、さまざまな技術のこと、音楽や楽器のこと、音響学などのこと、癒しや安らぎなど人間にもたらすものについてなどなど、そしてそれらは単体ではなくオルゴールとして複雑かつ絶妙に組み合わされた「総合芸術」ともいえる奥深さを持つことにとても感銘を受けました。

 「TETSUOこの夕べの一枚展」の開催期間中、アンティークの博物館物から現代の工業品までのたくさんのオルゴールと歴史上そして今オルゴールにかかわっている人たちが私というひとりの創作者のイメージを刺激し多くのインスピレーションを与えてくれました。作風での表現でいえばこれらに関係する方たちにはいつも神が宿り、そこにはいつも天使の光が見て取れます。歴史に残るアンティークオルゴールに天使が描かれているのもヨーロッパの宗教的背景だけが理由ではなく、それが人間という素晴らしい存在を祝福する表現であると当時の創作家も感じたていたのではないかと思われるのです。
(2004年7月)
「ようこそ永遠の音楽へ」
TETSUOこの夕べの一枚展2004年6月18日より

<サイト内の関連記事>
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  ■COMMENTARY
      作品について・物語と解説4「オルゴールの天使」

<関連リンク>
  ■諏訪湖オルゴール博物館奏鳴館 http://www.someikan.com/
  ■オルゴールDJ臼井則孔 http://www.lcv.ne.jp/~nonon/




「のんのんオルゴールの森♪」より
ステージ後方に何台も並ぶ大きなディスクオルゴールは今も活躍のアンティークオルゴールです。写真中央の少し明るい色のオルゴールが今回の作品のモデルになった現代オルゴールの名器「オルフェウス」。そして演奏中のオルゴールは一つ前の記事「オルゴールの天使」のモデルになったカード式手回しオルゴール、写真右下に「オルゴールの天使」の原画が置かれています。
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