■星空のこと

写真:SOMETHING EXTRAのページより

 夜空に星が見えるということがどれだけ素晴らしく、そして大切なことか、しばしば考えます。星座の神話や宇宙の伝説や暦を司る役割など、古代から星はたくさんのものをもたらしてきました。現在でも天文学や科学のほか、形而上学、占星術などさまざまな見方から星の考察があります。後述のTETSUOビジュアルアート展が開催された2003年11月にはハーモニックコンコーダンスと呼ばれる惑星配置もありましたね。
 これらのことについて今ここで事細かに述べることはしませんが、太古の昔から星が人間にもたらしてきたことは今に生きる私たちにとってとても重要な役割をもっているのではないかと思っています。

 私は宇宙には時を越えて様々なものが存在し、それらはいつも様々な形で私たちに降り注ぎ、そして同時に人間には本来「星や宇宙がもたらす様々なものを受け取る力」ともいうべきものが備わっていると思っています。今、大気汚染や光害(※)などで星が見えなくなり、そして見えなくなることで現代人は何か方向性のようなものを見る目を曇らせてしまっているように思います。それは空気を汚さないように、という環境問題の指針になるようなものだけではなくちょっと大きな表現をすれば人類が進むべき道のようなものを見失ってきてしまったのではないか、と思えるのです。
 もちろんたとえ見えなくても宇宙にあるものは変わらず存在し、また天文台の情報やアストロチャートなどで星のことを知ることもできます。また目に見えなくても先の宇宙に存在する様々なものはおそらく人間の「内的宇宙」によって感じることはできるでしょう。
 しかし人間にとって事実見えないということによって何かしら大切なことのきっかけを失うことは多々あるように思います。もしかすると星が見えないところに住んでいると「夜空には星が見える」ということを忘れ「満天の星空」などという言葉は物語のなかのことのように感じられてしまうかもしれません。しかしそれは人間が進むべき道があることを忘れていくことのようにも思えるのです。

 昨年2003年の11月にTETSUOビジュアルアート展の初日に会場となった長野県安曇野で、あるお客さんと夜、星が見える時間までお話ができたのですが「TETSUOさんの絵に星がたくさん出てくるのはこうやって星空が見えるところの近くに住んでいるからでしょう」と言った方がいました。もしかするとそうかもしれません。自分ではあまり意識していませんでしたが作品を楽しんでくれた方のなかなか素敵な投げかけです。
 また私の絵に出てくる「星」は時に音声であったり光の粒子であったりそのほか様々なものが星状のもので描かれているのですが、そういった表現になるのもあるいはそんな理由があるのかも知れません。

 星空がいつまでも見えること、かつてあったような星空を取り戻すこと、そしてそのことの価値をいろいろな意味でもっと考えていきたいと思っています。
(2004年6月)



※光害:街の照明が大気のちりなどに反射して夜空が明るくなり星が見えなること。
また直接照射される光で人間の生活環境や動植物の生育など自然環境にも悪影響を与えるという研究もある。



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